修行レポート(会員B)

 竹川先生に入門して約二年がたちましたのでレポートを提出します。私の場合は武術をやりたいということで、まず最初に縦鶴拳を練習しました。拳法の型というのは目的によってたくさんの種類がありますが、この拳法は主に功を練るということを主眼においているという特徴があり、内家拳の身体づくりをするにはもってこいのものだと思います。私の場合は、空手を十五年ほどやっていて限界を感じていたので中国武術を始めたわけですが、縦鶴拳の型を初めて見たときは、こんなので大丈夫かなと思いました。

 最初は力を抜いて肩の力を使うのだと説明を受けたのですが、何のことだかよくわからなかったのですが、修練を続けているうちに腕が重たくなったような感覚がして背中から肩にかけて力が伝わって手に到るというのが感じられます。このときに腕に力が入ると威力が止まってしまうということです。また、基礎の型である水手なども動作は簡単そうに見えますが細かい注意がたくさんあり、先生に少しずつ直してもらいながら正しい動作を身につけていくというようにしてゆきます。

 次に内家拳の気功ということで武当派の武術気功を修練しました。基礎である陰陽二斬で腹部に気を蓄えて、熱気が感じられたらそれを全身にくまなく流してゆくわけですが、これも正確な形で行うことが大切で、蓄えた気を外に向かって発する練習をします。これは、武当派三十六天罡拳という門派の内功を練るための基礎練習であり、この内功をしっかり練っておかないと外功や拳法をやっても威力が出ません。

 効果としては拳法の動作などをやっているときに昔は筋肉というか、外側の力でやっていたものが何か体の内側が充実してきて、その力が動作を行っているというか、そういう感じがします。この武当派気功に限らず、内家拳は外側の力を抜ききらないといけないという理由がわかりました。また、内側(内功)を充実させれば自然と無駄な力は抜けてゆくような気がします。それで年をとって、無駄な筋肉が落ち、力が抜けるほど強さを増してゆくのではないかと思いました。

 私は長年空手をやっていたので基礎体力はある程度出来てましたが、無駄な力や筋肉が多く苦労しています。要するに外側ばかりで内側がカラッポだったというわけです。空手の選手でも筋肉隆々でパワーも重量挙げの選手ほどに持ち上げる人でも、一打必倒というふうにはいかないものです。それに対してお互い鍛えているから倒れないという意見がありますが、内家拳の攻撃は筋肉がついているほど内部に浸透して内臓をメチャメチャにするものだと先生がおっしゃっていました。

 次に修練した鉄砂掌は、武当気功で練りあげた気を手に集め、打人の感覚をつかむために必要なものです。ベアリングのような小さな鉄玉を詰め込んだ布袋を掌背部に薬酒をしみこませながら打ち込んでゆきますが、手の痛さによって加減をして腕に力が入らないように、また姿勢を崩さないようになど、最初は先生の立会いのもとで注意してもらいながら修練した方がよいでしょう。また或る程度、内功を練ってから修練したほうが内家挙の打撃のコツというものをつかみやすいと思います。自覚症状としては、手首から先が腫れぼったい感じになり、重くなってきまず。

 これはどういうことかというと空手の巻きワラ突きと違って表面だけを固くするのでなく無駄な力を抜いた勁力によってかなりの打撃力で手を打つので、内部から鍛えてゆくわけです。また、両手よりどちらかの手を集中して鍛えたほうが威力が強くなります。だいたい右が2で左が1ぐらいの割合で修練するとよいと思います。内家拳の型というのは大まかに言うと、左手が防御で右手が攻撃用と使い分ける特徴があります。よって右の攻撃に使う手は必ず一撃必殺にしておかなければ戦えないわけです。

 先生のお話しでは、最低三年は続けなければならないということです。一見、手を鍛えているようですが内家拳の場合は気を鍛えるためにやっているというふうに、気の力を強めるのが内家拳では重要なことです。

 次にその気を強めるために九九神功という練功法を修練しました。これはどういうものかと申しますと、陰茎及び睾丸を紐で結んで錘を持ち挙げるというものです。まず八種類の気功を行い、次にマッサージをして陰部に気を集めます。この感覚がないと重い重量は挙がりませんし、陰部を痛めることがあります。

 第一段階では、錘を前後に振って後天の気を鍛えます。そして細かい鉄線を束ねたもので全身を血行にそって叩いてゆきます。最後に十五分ほど静座をして気を体の中に巡らせます。イメージとしては気で挙げるので楽そうに思うかも知れませんが、実際はかなりハードなもので、或る程度下半身や気功が出来てないと苦痛を伴うのではないかと思います。
 私も最初は理屈では考えられないので、せいぜい出来ても二十キロくらいではないかぐらいに思っていましたが、とにかく毎日継続して修練することによって、或る一つの山場を越すと体の内から力が働いてグーッと持ち挙げているという感覚がしてきます。

 六十キロからは錘は振らないで静止したままで、意識で小周天を行います。これは第二段階で先天の気を鍛えるもので、ここからが本当の九九神功の修練と言えます。このあたりになってくると、脊椎の中に一本の芯が入ったような感覚がして体から放射する気の量が増大し、またコントロールが意識で或る程度できるようになってきます。最高では二二〇キロの重量を吊れるらしいのですが、そうなると一生涯やらないと変形してしまうということらしいので一〇〇キロまででやめた方が良いということです。

 次に武術において必要な要素としては防御ということですが、或る程度打撃を受けても耐えられるだけの体づくりをしておかなければ、実戦においては危ういものとなります。そうかといってこれまでのように筋肉を大きく鍛えて相手に叩いてもらうだけのものでは耐えられる限界というものが限定されやすくなってしまい、ファイターと呼ばれる人間に勝ちを収めることが困難になります。

 それでは内家拳の防御体のつくり方というものはどういうものかというと、呼吸と気で相手の攻撃を弾くというのが特徴です。これも内功というものを武術気功で養って、そのうえで鉄布衫という外功を行うことによって完成されるものです。簡単に言うと上半身をツボに沿って叩いてゆき、弾く感覚をつかむということです。これはパートナーに叩いてもらうのですが、今現在は少し長めの袋で自分で叩いています。
 終わった後は体の中が熱を持って、体表面に気の放出を感じられます。これもまだ期間は短いので、まだ自分のものになっているかどうかは自信がありませんが、実戦においては今まで以上に耐久力を示してくれるのではないかと思います。

 ここまでで一応は攻撃と防御の功を積む修練を学びました。費用と時間の関係で学ぶのはこのくらいにしておこうかと思いましたが、本物を学べる機会など生涯に一度あるかないかということを考えると武術と名のつくものは全部、身につけようと次は茅山神打万敵法功を修練しました。これは武術修練以上の力を身につけるというもので、武術というよりは法術と言ってよいでしょう。壇を設けて斎戒沐浴をし、四十九日間修練をします。

 まず、神打の方ですが何も考えないで神が体に宿るようにと意識を集中していますと、体が自然に動きだし最初は単純に動いたりするだけで手の動きというものはさほどありませんでしたが、日々修練することによって攻防一体の動きというものが出てくるようになります。ポイントとしては頭の中をカラッポにして神の動きに身を任せるということです。私の場合は主に相手の攻撃を巻き込むようにして防御をしてその手がそのまま攻撃に至るというパターンとその他さまざまなコンビネーションが出てきます。先生に動きを見てもらいましたら、神仙がやってきているのが見えるとおっしゃっていました。

 次に万敵法功ですが、これは先生に難しいといわれていて修練するのはまだ早いという感じでしたが、勉強のためやってみました。まず、三山九侯先生という神仙を祭って四十九枚の霊符を毎日一枚づつ呑んで呪文を唱えながら北斗を歩きます。そして神仙が宿るようにと集中するわけですが、法術の基礎を績んでいるわけでもなかったのでこれは残念ながら失敗しました。やはり六甲壇で識神を呼び出し、基礎を作ってからまた挑戦したいと思います。これについては完成したらまたレポートを書きたいと思います。

 次にこれも武当派の練功法ですが鉄指功を修練しました。まず薬酒に手を浸して緑豆をたくさん入れたバケツに指先で突きこみます。約三カ月くらいで手首まで中に入れることができるので豆と鉄球を半分ずつにして行って、最後は鉄球のみとします。これも慣れてくると手首まで突き入れることができるようになり、終わった後は指先がピンと伸びて気が出ているのがわかります。だいたい半年くらいで厚めのダンボールぐらいなら突き通すことができます。点穴をやりたい方は必ず習得しておかなければなりません。

 次に学んだのがクンダリーニ仙道の流れを汲む太極拳でこれは一般に知られているものと趣が異なり、単鞭なども法術で用いる剣訣の手形で行ったりします。先生のお話しでは剣訣の指先からレーザー光線を発することもできるようになるというようなことも聞いたことがあります。今のところ、自分で気づいたことは手に気がボワーッとした感じで集まるように感じられます。技法としては接近戦用の技で主に掌打が中心で寸勁を多用するような内容です。しかし、これはクンダリーニ仙道で或る程度の段階までいってないと本当の意味がわからないのではないのかと思います。

 それからしばらくしてクンダリーニ仙道の第一段階を学びました。以前、皆さんがそうだと思いますが、大陸書房から出版された高藤氏の書いた仙人シリーズで小周天を独修したことがありましたが、何か熱感のようなものが体の表面を通っていくような感覚がしただけでした。実際のものはそれよりももっと複雑で、経絡も任脈・督脈以外にも衝脈なども使って主に第三の目と言われる霊台を修練します。内家拳では気を徹底的に鍛えるのでそれを仙道方面に応用することによって技に深みを持たせることができるのではないかと思います。

 これも武当派気功九九神功をしっかりやっておくと進歩が早く、気の感覚がハッキリ感じられ集中しやすくなります。第二段階はどちらかというと基礎で、体の健康ということに重きをおいています。或る程度やっていると体の中の方が熱く感じられ、疲れにくくなってきます。
 次に武当派の拳法の型で伏虎拳を学びました。中国拳法の型というと意味がよくわからないものが多いのですが、これは攻防の方法を身につけるために修練するもので攻撃と防御が一体になっているいわゆる交叉法です。合計で三十六の攻防動作を行います。これも内功をつくって威力を出せるまでに修練をします。武術に関しては、だいたいこういうような修練を毎日実行しています。

 次にクンダリーニ仙道の第二段階について報告したいと思います。大体第一段階を半年ほどやって三焦の通じる感覚がハッキリしてきました。第二段階は俗に言う六つのチャクラで養った気を霊台(第三の目)という箇所に統一集中するもので神通力発現のための基礎づくりをおこなうもので、気を運用して霊台に集めてくるとジーンとした感覚が眉間のあたりに感じられ、頭の中が明るく銀色っぽく感じられることがあります。最終的には白く発光する米粒大の玉が見えるようになれば次の段階に進めるそうです。法術系統をやりたい方は最低、第二段階で霊台の位置が把撞できるところまで習得しておく必要があります。

 最後にいくつかの法術や降頭術をおこなってみたことについて報告します。まず、最初に降頭のケンカ仏に祈りを捧げて、意識を戦闘意欲で強気にして戦うといったものです。八本の腕を持つケンカ仏を入魂しメダルに朝晩祈りを捧げて自己と一体化させるものです。実際に呪文を唱えてみると体の中からグーッと圧力のような気か湧いてくるのが感じられます。実際の戦闘では手加減ということが不可能で、手追いの獣のような戦いぶりになるのではないかと思います。ムエタイの強さの秘密というものが実感としてわかりました。

 次に降頭の愛情法でタバコを使うものを実験してみました。これはタバコに呪文を一〇八回唱えてその煙を相手に少しでもいいから吸わせるといったものです。同門のCさんが実験して効果があったということで武術が人を制する術ならこれは女を制する術として身につけておこうと思いました。相手には身辺の好意をよせている女性を選んでやってみました。最初は何か急に愛想が良くなって接してくるのがわかりました。しかし何というか今一つ、決定的な効果は難しく思えました。

 その次は茅山派の愛情法を実験してみました。これは掌に符を書いて呪文を唱えて相手に気を送るというものですが、これもCさんと違って効果はあまり感じられませんでした。これらの法術の実験を行って感じたことは、やはり基礎づくりをしっかりやっておかないと効果はあまりないということで、私の場合はまだ、この時点では武術的な修練しかやっていなかったので、気の性質がどうしても荒くなっているということで、仙道系の修練をして繊細なものにしておかなければならないとということです。

 また、六甲壇修練は基礎としてやっておかなければならないと思います。これは高度で難しく、人間の力が及ばないようなことを法術で成就させるためには絶対必修の修練だと思います。

 いま現在の私の修練状況ですが、武当派気功は腹の熱さはかなりになり、全身に気を巡らせると中から充実してくるのがハッキリと感じられます。九九神功は八十八キロの錘を持ち挙げられます。クンダリーニ仙道は第二段階でありまして六神の統一で霊台の位置が感じられます。一応このような状況で、昨年の十二月二十日から六甲壇を修練しています。
 今までで感じられた変化と言えば、雑念が湧いていても修練時には一つのことに集中しやすくなったようで、もう少しで何か見えてくるのではないかと思います。

 法術を行いたい方は武当派気功九九神功クンダリーニ仙道を集中的に行えば良いと思います。目的によって修練の内容も変化するので、時間のない方は短期間に集中して修練すれば良いと思います。また、武術を本格的にやる方は、時間と労力とお金にそれなりの覚悟をもって望むべきだと思います。内家拳といっても体力の消耗なども激しく、五体すべてを鍛え上げなくては実戦では使いものにならないからです。また、功を練るのも或る程度の年数は覚悟しなくてはならないでしょう。

 しかし、竹川先生と縁のある方というのはお金を出しても買えないような貴重な人生を送る可能性があるわけで、どんな些細に思うことでもしっかり修練して頑張っていただきたいと思います。

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