神仙道による家祭霊璽(家庭御霊代)謹修清規

年月日

 水位先生所伝の神仙道による祖霊御霊代みたましろ(幽魂家祭霊璽)の謹修に就ては全道士殆ど洩れなき迄の御問合せに接し来れるも時期未到の為め一柱と雖も謹修申出に応ずる事なく今日に至りました。

 然し水位先生御五十年祭(明二十九年三月二日)迄には必ず実現の運びに立到るであらう事は其都度御返事申上げておいた通りでありますが、突如として事情開展し来る十月九日より十一月八日に至る一ケ月間に限り御霊代(霊璽)謹修の御申出に応ずる事となりましたので取急ぎ左に御申込清規を御知らせ致しておきます。
(前記期間外の御申込分は総て第二次謹修に一括されます。第ニ次の謹修年度は未定であります。)

 一、此十月九日より十一月八日に至る一ケ月間は神界に於て極めて重大な幽政上の大節である事は異境備忘録に其片鱗が洩らされて居りますが、更に「幽界記」には万霊神岳国津三十九司命神との御関連に及んで実に容易ならざる幽政司命の一大事の実消息が秘記せられてありますが其れは到底公表せられない性質のものであります。

 此十月九日は人類の総司命、地上 一切生類の元霊と仰ぐべき太上老君(伊邪那岐大神)の上相大司命たる青真小童大君(少名彦那大神)が神集岳に於て司命の根本簿籙の改定を開始し給ふ日で、これより十一月八日に至る期間に於て現界人をはじめ一切帰幽者に至る迄万霊の身上に幽政上の或る決定が行はれるのでありまして、幽魂は此決定に本づいて国津三十九司命神及小司命神の指揮に依り或は上界に昇遷され、或は下等の界に降謫せられ、或は其侭に現住の界に止まるもあり、又た結形の期満ちて大霊に帰する等其の境涯に大変動ある一大節であります。

 一、幽魂(帰幽者)幽冥界に在りて(多くは地に属する幽境又は墓所の幽界)生前の信行功過並びに先祖の積徳積殃を負ひ更に其界の掟律に従って幽界生活を続けている事現世とほぼ同様でありますが、幽顕道交の交渉は極めて微妙でありまして子孫又は有縁者の正しい祭祀(家祭)によりて正しき機縁を得て霊格向上し其結果神仙界系統の正しき幽真界に転住し更に上位の界に昇格する転機を辿る事となりますので、凡そ現世子孫有縁者として此の家祭は祖霊並に有縁帰幽霊に対する霊的義務であり遠祖依頼の家名を負持つ者として大孝を述ぶること之に過ぐるは無しと謂ふべきであります。

 又た有縁の諸霊もしきりに斯る転機を希求し、朝暮となく之を念願することは水位先生が「魂は冥府にありて墓所の魄気に通じ、一分は地中の幽界に止りて霊舎に通ふ。死したればとて真に無きが如く思ふべからず、其霊魂は活人よりも甚しきこと多くあるなり。在世の後悔は限りあり、死しては長き故其恨みや亦た限りなし。」と申されている如くで、さうした意念が恰かも物理学上の同弦共鳴の感応の如くに現界有縁者の身心に影響して居り、俗諺に「物事が不如意なれば祖先の祭を行ってみよ」といふのは或る幽顕の交渉に触れた天の声を伝へたものであります。

 我といふも独一の存在では無く遠祖以来一貫したタテの縁で繋った分身分魂でありますから祖霊の中に冥罪を得ているもの、或は下界に墜ちた地縛の迷魂等ある場合は自然我が身魂にも其の影響を受けるので 先師所伝の玄胎結成秘詞の一節に「七祖父母冥罪を解くを得累業の先、世々結ビヲ解く云々」の微詞の存するに徴しても其修道上に於ける祖霊との密接なる関連が窺へる筈で、正しき家祭を行ふことは修道に併行する道士必然の要務と謂ふべきであります。

 一、神仙道は宇宙主宰の造化司命の道道で総ゆる宗教の宗原でありますから神仙道による祖霊祭祀の一般家庭で行っている仏基其他新興宗教の祭法等を一切超越せるもので、さうした後天的祭祀との関係を対立的に懸念する事は無意味であります。

 一、謹修の御申込には同封の申込書の所定欄に記入を要しますが念の為め一部記入方等を御説明致しておきます。

 (イ)祖霊霊璽みたましろ 遠征以降代々歴世の祖霊より曾祖父迄の諸霊を総称して「何々家祖霊霊璽」として一体の御霊代に謹修することを原則と致します。
(御申出により祖父母をも此の祖霊霊璽に合体して謹修することも出来ます)

 (ロ)祖父母より以降は父母妻子兄弟其他家族親族知人等帰幽者を各霊毎に各一体の御霊代(霊璽)として謹修致します。

 一、謹修料 (一)祖霊霊璽 五百円以上(祖父母を合体する場合は七百円以上とす)(二)其他霊璽 一体毎に二百五拾円以上

 一、謹修申込締切期日 本年十一月八日迄
(御事情許す限り早々に御申出下さい。本部では此の一ケ月間に亘り其受理に伴ひ一週間毎に取纏め其都度「奏大司命太玄生秘事」を執行し最終十一月八日の夜を以て打切ります。)

○此の「奏大司命太玄生秘事」は師伝重秘の太玄陰生符籙を用いて密修し、一ケ月に亘る神界の司命簿籙改定の期間中に所定の幽政上の霊的手続を執行するもので、霊璽謹修の大部分の目的も茲に存するのであります。各霊璽は此符籙の感格を経て謹修されますので、右修法期間経過後一切御申込順により謹修完了の霊璽より拝送致します。

○「奏大司命太玄生秘事」の内容は到底申上げらるわけのものではありませんが、太上老君伊邪那岐大神御親筆の太玄陰生符を奉じ、各幽魂に対する除過罪符の修用を始め各霊璽一体々々に五岳真形図感格修法をも併せ行ふもので、これは取りも直さず現に幽界にある諸霊が直ちに是等重秘の霊威を被ふる事となり、同時に地上唯一伝来の尊符尊図の神気霊縁に感格して同命転籍の大節に臨むことがどういふ霊的結果を招くか、其道福は量り知る可らざるものでありまして、蓋し現世子孫有縁者として祖霊幽魂に対する大孝節義の最たる表現であります。

 悠遠の遠祖歴世の祖霊等、祖父母、父母、妻子、兄弟、親族知友其他有縁の親しき幽界人が如何に旱天に慈雨を望むが如くに渇仰して此の「奏大司命太玄生秘事」による霊位謹修を待ちうけて居られるか「其の霊魂は活人よりも甚しきこと多くあるなり。死しては長き故其恨みも亦た限りなし」てふ先師の幽真界実消息に照しても想像に余りあるものがあるのであります。

幽魂調形霊辞特伝

 永遠に記念さるべき此の第一回神仙道家祭霊璽謹修に際し、特に今次謹修霊璽と倶に幽魂安鎮秘詞の奧伝とも謂ふべき「幽魂調形霊辞」の特伝が許されることとなりましたので家祭心得書とともに其伝書が同封されます。
(此の霊辞のみの相伝には応じられません。)

◎謹修料の御送付は振替払込による方法もありますが、封書に御申込書と現金を封入して書留にせられる方法が費用もかからず相互に一番簡便です。
小額なれば普通書状に同封でも宜敷、郵便規則の改正で現金同封は差支へない事になりました。

昭和二十八年九月三十日
神仙道本部

※現在、家祭霊璽謹修は行っておりません。

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