香袋

年月日

謹呈 にほひ袋一

かうは既に三千年の歴史をもち、中国では唐代にはもう諸種の香料を調合した香嚢(香袋)が造られていますが、我邦の香道は古く平安朝の宮廷貴紳の間で行はれ、衣冠装束の裡に秘めて進退動作の間清高の薫を漂はせ、高向なる品位を示したのでありますが、夙に僊道修法の上に現はれ(例、神僊霊感使魂法訣第六、空玄想感法の条)斎域の浄化にも用ひられたのでありますが、是らは妙香薫る無可有むかうの郷すなはち神仙界の仙風にあやかるの意に通ずるもので、古くは式内の神社で香守かうまもりとして特定の授与が行はれていた史実も存するのであります。