降頭術、牛神教

 これはインドネシアに伝わる降頭術であり、牛神をお祭りして各種の降頭術を行う物である。これには御本尊として、玉石製の牛神、それに又玉石製の牛神護法神とがあり。
 それに又牛の骨で作ったドクロが必要であり、これは首に掛けられるようになっている極めて小さい物で、丁度の牛の頭のように二本の角(つの)を生やしている姿であり、この牛角ドクロの額の所に牛頭符を書き、そして木製のお碗等の中に入れ、甘文煙に火をつけ、両手でお碗を持ちながら甘文煙にくすぶらせ念呪する事二十一遍、術師は牛血で以てドクロの五官及び牛の角秘符に点じ、そして外に出して夜にあたらせて月の光を吸収させて、次の日の朝早くこれを収める。これには牛頭降及び牛頭愛情法とがあり。

牛頭降

 白紙で紙人形を作り、これに相手の姓名、住所を胸に書き、紙人形の背中には符を書く。そして又牛の血で以て胸に秘符を書き、術師は牛頭神の前で甘文煙に火をつけて、牛頭のドクロを両手に持ちくすぶらせながら念呪する事七遍して、牛頭のドクロを紙人形の上に乗せる。以上のように修法する事二十一日間にして、この紙人形を相手の家の土のある所に埋めれば、必ず術にあたって起きれなくなる。

牛頭愛情法

 木の皮に秘符を書き、小さいなガラスビンの中に入れ、これに巫油を入れ満たす。真夜中の十二時、牛頭神の前で甘文煙に火をつけて術師は両手でガラスビンを持ち、香にくすぶらせながら念呪する事二十一回、そしてこのビンを木のお碗の中に入れて、白米を入れておおいかぶせる。以上このように修法する事二十一日閥にして、左手の中指の血を少したらし入れる。中指で以てこのビンの油を少しつけ、異性の体につければ良く愛意を得る。又この牛神降には椰子頭降があり、椰子即ちヤシの実の頭の部分に秘符を害き、両目を書き、両眉をつけ口にあたる部分に穴を開けて、その下にも又秘符を書く。書き終われば牛の血で以て、それぞれの符につけ、牛頭神の前で甘文煙に火をつけ、白いロウソクー本にも火をつけ、術師は両手でヤシを持ち甘文煙にくすぶらせながら念呪する事二十一回、そしてこのヤシの実を家の外に置き霧水を吸収させ、朝早くこれを収める。修法する事二十一日間にして、諸々の修法に使える物となる。

辟降法

 降頭をかけられた食物を口にする恐れがある時は、呪文を唱える事三回してから、三、四粒の御飯を手に取って食べれば良く邪降の侵害を辟除する。

愛情攝魂法

 葉を切って人形ひとがたに切り、姓名及び住所を書き、少しばかりの相手の毛髪を葉に貼りつけ、葉の背中には符を書く。そして術を求めし者の毛髪を少しばかりこの葉人形の背中に貼りつけ、白紙に符を書いて葉人形の背中に置き、この葉人形を巻いて円形として、ヤシの口の所に入れふさぐ。牛神の前で甘文煙に火をつけ、香にくすぶらせながら念呪する事二十一回して、ヤシの実は黒い布でおおいかぶせ、以上このようにて行う事二十一日間にして葉人形を取り出し、背中の白紙符を取って術を求めし者は身に帯びる。別に葉人形は相手の住んでいる三つの分かれている道端の所に埋めれば即ち良く相手に愛意を発生せしめる。

迷心降頭法水

 この迷心法水を祭練せんとせば、まず南に向かっている流れ川の水一碗を用意し、白紙で以て一枚の秘符を書いて符をまいて円形とし、ヤシの口の中に入れ、術師は牛神の前で甘文煙に火をつけ、法水の碗の中にヤシを入れ、術師は地面に座って両手でこの水碗を持ち、香にくすぶらせながら念呪する事二十一回、ヤシの口に中にさし入れた白紙符を取り出し、焼いて水碗の中に入れ、使う時に中指の血一滴を水の中に入れ、ひそかに異性にこれを呑ませれば、良く心を迷わし相愛させる。

愛情符呪

 白い布或いは白い紙で秘符を書き、四角形で大きさは約二十四センチ四方、秘符を書いてからこれで以てヤシを包み、牛神の前で白いロウソクー本、並びに甘文煙に火をつけ、包み込んだヤシで以て両手に持ち、香にくすぶらせながら念呪する事三回して、この符を身に帯びれば異性の愛意を得る。

解邪降圧魂法

 邪降にあてられし者の衣服一つを取り、術師は白紙に一枚の秘符を書いて、まいて円形としてヤシの口の中に入れふさぎ、白米ひと皿を取って容器の中に入れてある衣服の上に置き、ヤシを取ってこれも衣服の上に置いて、術師は両手で容器を持って、甘文煙にくすぶらせながら念呪し、おわって衣服を取って邪にあてられし者に着させる。そしてヤシの口に差し入れてある秘符を取って、邪降にやられし者に服用させれば、良く邪を解く事不可思議。

刀鬼てん害法

 葉に秘符を書き、ヤシで以て葉の上にのせ、術師は毎晩白いロウソクに火をつけ両手をヤシの上にのせ、念呪する事二+一遍、終わって黒い布で以てこれをおおいかぶせ連続して行う事三日間して、ひそかにこの葉の符を仇敵家の前に埋めれば、良く邪霊がまつわりつき、害をなし不安となる。

呪水清浄法

 井戸水をヤシの中に入れ、甘文煙に火をつけて、術師は念呪する事二十一遍して、霊石を入れてあるお碗の中にこの水を入れて、葉にこの水をつけて各処にふりまけば、邪気を清め除いて大吉である。

攝魂降術

 術師は牛神の前にて白い ロウソクー本及び甘文煙に火をつけ、葉を切って葉人形を作り、仇家の姓名、生年月日、住所を葉に書いて後、牛の血で以て葉に秘符を書く。この葉をまいて円形としてヤシの口の中に入れふさぎ、甘文煙にくすぶらせながら念呪する事二十一回して、家の外に出して精華を吸収させ、次の日朝早くこれを収め、毎晩施呪する事一回、連続して行う事七日間にして、この葉人形を相手のいつも通る道に埋めれば、必ず術にあたって魂は不安となる。

定魂符

 此の定魂符を書いてから、甘文煙にくすぶらせながら念呪する事三回、この符の上にヤシを乗せ、このように行う事三日間にして、この符を身に帯びれば心が定まる。

定魂符

 邪降にあたって精神が定まっていない、心がぼーっとしている、霊障害等は此の法を用いて、その魂魄を定めるのである。
葉一枚にやられし者の毛髪少しばかりを取り、 葉にその人の名前を書き、毛髪をこの中に入れてまいて円形として、ヤシの口の中に入れふさぐ。このヤシを両手に持ち甘文煙にくすぶらせながら念呪する事二十一遍、そしてこのヤシを外に出して、精華を吸収させ、次の日の朝早くこれを収め、連続して行う事二十一日間にして、この葉を取って川の中に投げ入れれば、その魂が定められるのである。
(降頭の壇には降頭祖師、銭鬼、古根女巫、古仰韶玉ぎょうしょうぎょく巫術神御二体、石頭神、木神、天猴神、サル神、護法サル神、羊神、獣神の古比神、牛神、護法牛神等をお祭りしているが、壇に置いてしばらくして、ある日の酉の時間になって急に眠気が催したので、そのまま眠ると、非常にリアルなる夢で、家の中で沢山の牛の群れ、 羊の群れ、猿の群れ、鳥の群れ等が飛び走りかけめぐっていたのであり、紫微ではその酉の時聞には午宮うまきゅうに化科が入っていたのでありました。)