ある弟子の紫微斗数盤

年月日

 大阪に玉〇君というのが居た。彼は平成六年、即ち一九八四年の約二十九年前に入門してきたが、今年の七月に亡くなった。今年は彼は数えで六十二歳であった。彼の紫微斗数の盤を出して見ると…

紫微斗数盤

紫微斗数盤

 彼は関西の大学を卒業以来、医学メーカに就職した。以来ずーっとその会社一筋であった。彼は最初は武当派の武術気功の陰陽二斬功から習得した。その型が落ち着くまで数年の時間がかかった。武術の型というのはしょっちゅう見て手直ししないと、その型はすぐ変わる物であり、そうするとその本来の効果は出てこない物である。

 命宮の天梁の星は正直であり、性格的に孤独を好み、れる事を好まない。又この星は医の星でもある。命に左輔の星が入り、又三合宮の官禄宮に右弼が入っているので家庭を作る概念が薄い、対宮の天同の星はこの星は女性の星であり、又この星は福星であり、温和、慈善の意味であり、人を裏切るとか、落とし入れるとか、そういった悪感情のない御仁であった。

 彼は一生独身であり、女に金を使うとか、旅行にはまるとか、何かに金を使いまくるとかそういう事のない人であり、趣味としては競馬で馬券を買う事であったが、その額も千円と微々たる金で、私は彼の事をノミの心臓と言っていた。

 彼は私が教えた紫微・奇門の占いを使い、馬券を買うのはいつも本命一筋であった。そして大体は当たっていた。あんた、とっても千円では当選金は少ないだろうと申すと、いや、もしも、あたらなかった場合の事をかんがえているからだと申すのである。これは疾厄宮に文昌化忌が入っているからであろう。

 又彼はレポートが非常に苦手であった。この疾厄宮には人生に大事な文昌に天府や財星の武曲が入り、つまりは病気が増えるだけであった。夫妻宮には巨門化禄、天機の吉星が入っているが、しかし嫁さんはおらず、この宮の力はなし。

 彼の会社はもともとが大阪にあったが、社長が交代してその方針も変わり、本社が丹波のあたりの田舎に移転した。変わってから会社の景気も良くなく悪くなったと彼は言っていた。

 大阪から福知山線に乗り、尼崎かそれから線路は分かれて、一つは東海道本線、そして分かれて福知山線となり、内陸の山間部と入っていくのであり、これより大幅に通勤時間がかかるようになった。やはり大阪の方が便利なので彼は大阪にとどまった。そんなこんなで彼の修業時間も短縮されるようになった次第である。

 この福知山線は運転手のミスで大事故が発生した所であり、カーブを曲がり切れず電車が脱線事故を起こし、多くの死傷者が出た所であり、関西の人間ならばだれもが知っている。ちなみにわたしが電車に乗っていた所、血まれの人達を良く見た。この亡霊の人達はそこを通動していたのであろう。亡くなってもさまよいうろついている。

 五十二歳より六十一歳のこの大限の十年間で、或る年の夜に彼から電話がかかってきて、いま、病院に腰痛で入院していると申す。いやあんた、陰陽二斬をしっかりとやっていれば、腰痛などはならないよと申すと、やはり彼は練功をしていなかった。

 まただいぶ時間が経ってからまた彼からの電話で又腰痛で入院していると申す。この頃は彼は全然練功をしていなかった。この十年は疾厄宮の化忌の十年であり、そして去年の乙年の年に彼から電話がかかってきて、ガンで手術をして人工肛門になったと言っていた。

 その日は大雨で弟と嫁がきていたが、早く帰れと言ってるのに帰らなかったと言っていた。つまりはお兄さんの心配よりもお金の心配だったのであろう。大金がその時入るかどうかの瀬戸際だったのであろう。彼はだいぶ前に私に家を買いたいとは言っていて、だいぶお金をため込んでいたし又退職金もあろう。その他の諸々の保険金もあった。

 そして今年の七月、つまりは彼が天同の十年の大限に変わってからであり、彼の弟から電話がかかっきて兄が亡くなったと申す。彼の人生は自分の為に金を使う事はなく、弟夫婦などに自分の金を使われるつまらない人生であった。

 彼がなくなってから出神して彼に会いにいった。彼はその時若返っており、そして体も非常に元気になっていた。本人は元気になってあちこちと行けない所に行っていた。彼は死ぬ前に足が異常にふくらみ歩けなく、歩いても百メートル位がやっとで家の中でははって生活をしていると言っていた。

 癌の手術をし人工肛門の体となり毎月一回は病院に数日間入院をし、その都度検査を受け薬の状態を確かめられ、医者に言われてコロナウイルスの注射を三回まで受け、彼の体はボロボロになっていた。

 まあそこで病院にしょっちゅう入院していたのでコロナにかかってしまい、そして亡くなったのであろう。彼がなくなる前に検査入院して足の異常な大きさの事を医者に言っても、薬を出してくれと言ってもだしてくれないと憤慨していた。

 彼が亡くなってから私は使魂して彼に会いに行った。彼に会った時、彼にあんたはもう死んでいるよと申した。意識がもどってから体が急に元気になったので、自分では死んだと言う事がなかなか分からなかったのであろう。

 そこで私は彼の手を引き空中飛行した。彼はこんなすごい事だったのかと彼は感心して「何でもっと熱心にやらなかった」と後悔していたが、それはあとの祭りでいくら後悔してもそれはダメであり、また急にグーッと上に飛び上がって行くと、彼は震えだし「先生やめて下さい、降ろして下さい」としがみついてきた。

 そもそも人が死んでからではなかなかその修練は進まない物であり、だから生きているうちに修練する事が大事である。死んでから神様がすぐに迎えに来てくれるなどの甘い考えはやめておいた方が良い。現に五岳真形図の最高である大五岳真形図を持っていても地獄に落ちる者が何人もいる程である。

 法術の中で地府買命というのがあり、これは私の師父であるセンシン・マアーが得意としていた技であり、例えば交通事故でこの人はもう助からないという人や、遺産の事でどうしてもこの人にはここで死んでもらうわけにはいかないと言う人などには、この法術を施して医者がもう助からないと言った人や、死ぬべき人が助かったと言う事例やその霊験は多く、いつも百発百中であった。

 お年寄り人でこれをやったとしてその人の寿命が更に延びてしまうので、経済的に十分なるお金を持っていないとその家庭は苦労する物である。

 これは新集陰銭儀式として神々の御降臨を願い、地府陰界の靈神たちにもお出でいただき、新集交納陰銭数目としてそれぞれの神々、冥府第一殿より第十殿までの神々、及びそれに関連する冥府のそれぞれの冥官達にそれぞれいくら銭を渡すのかとお申し上げ、そして請神良星の儀を行ない、星回りを変える儀式を行うのであります。これは数時間を要する儀式であり、簡単ではなく、また多くの大量の紙銭類を焼く必要があります。

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