接財神 ~財神をお招きする方法~

年月日

 当会の道士は自宅に神壇を設けて毎日神拝し修練を行なうことを基本としていますが、それが困難な一般の方々でも行える開運・招財法として、接財神の法を紹介します。

接財神とは

 中国では新年の一月一日の元旦である正月を祝うが、実際は旧暦の正月一日を重要視する。新年の多くの儀式の中でも最も重要で且つ人の気を引く祭儀・祭法が接財神の方法である。財神は人々に財をもたらすのみならず、最も主要なるは新たなる希望をももたらすからであろう。その中で接財神は一つの神聖にして重々しい俗習であって、絶対にゆるがせにしてはならないものである。それは一年の幸福に関係しているからである。
 中国では元旦には御神前にお供物を十分に供えて香を焚き十分に拝んでから金紙等を焼いている。接財神を新年に行ったか否かにより、その年の財運が大きく左右されるからである。

祭儀における注意事項

 財神とは反対に忌むべきものとして死門(死神)がある。この財神と死門(死神)にはそれぞれ方位があり、これらは毎年異なる。これらの方位は毎年、年末項に出る通書(中国の暦)に載っている。例えば平成八年度の財神の方位は西であり、死門(死神)の方位は東北である。
 この接財神の法は毎年必ず行わなければならないものであるが、例外としてその年の一月一日の十二支と自分の生まれ年の十二支が冲の関係にあたる人はこの接財神の法を行ってはならない。

 また、接財神をする者の家の玄関が死門(死神)の方位に向かっている場合には、当日は屏風で門を遮るようにするか、或いはスダレを玄関に掛けるか、もしくは死門(死神)の方位を閉ざして別の場所より出入りするようにしなければならない。
 また、年によっては財神の方位と死門(死神)の方位が同じになることがある。このような場合、通常の方法で財神をお招きすると死門(死神)も一緒に家の中に入って来てしまうため大凶となる。この場合には財神だけをお招きする特殊な方法があるので、その方法に則り祭儀を進めなければならない。

接財神の方法

この接財神の法には、以下の三つの方法がある。

1.寿山石寿仙法

 財神をお迎えするのに一番良い方法は、寿山石で作った寿仙人(福禄寿の一つである寿老人[注])の御神像を用いることである。この寿山石の寿仙人(寿老人)が入手できなければ、陶器製もしくは木彫りの寿老人で代用してもよい。
[注]日本で「福禄寿」と言うと普通は寿老人を指しているが、本来の「福禄寿」とは福神、禄神、寿神の三体のことである。

 旧暦の一月一日の子の時(夜中の12時より1時の間)に、その年の財神の方位に向けて机(またはテーブル)を置く。これを置く場所は自宅の玄関先や庭先もしくはベランダ等の屋外でなければならない(家屋の中は不可である)。
 その机の上に寿老人一尊を置き、その手前には香炉やローソク、また各種の供物を並べる(配置図参照)。寿老人の御体には赤の少し長い布を掛ける。そしてその机に一枚の接財神の符を貼る。寿老人も霊符も財神の方位に向ける。

 まず、財神の方位に向けた二本の赤いローソクに火をつけ、三本の線香に火をつけて、財神の方位に向かって拝むこと三拝し、財神をお招き申し上げる。そして両手に持った線香を香炉内にさす。そして約二十分程お祈りをする。それが済んだらお礼を申し上げて財神をお送り(送神)する。そして財神符を焼く。これらがすべて終わったら寿老人を家の中にお入れするのである。

接財神の祭壇の配置図

接財神の祭壇の配置図

寿老人1

寿老人の御神像1(陶器製)

寿老人2

寿老人の御神像2(木彫り)

寿老人3

寿老人の御神像3(木彫り)

寿老人4

寿老人の御神像4(木彫り)

寿老人5

寿老人の御神像5(木彫り)

寿老人6

寿老人の御神像6(木彫り)

寿老人7

寿老人の御神像7(木彫り)

(注)上で寿老人の写真を資料として載せましたが、これらの御神像をお分けすることはできません。

2.石雕龍門躍鯉法
 石雕龍門躍鯉とは石または陶器で作った鯉で、体が上を向いており、口が開いているものである。その口に生野菜(チンゲン菜が適当であろう)を入れる。この石雕龍門躍鯉が入手できなければ、龍門躍鯉符(黄紙に「龍門躍鯉」と墨書したもの)を作り、その上に生野菜(チンゲン菜)を置いても良い。
 祭法はすべて「1.寿山石寿仙法」と同じであり、財神符を焼いてから石雕龍門躍鯉もしくは龍門躍鯉符を家の中にお入れし、御神前等に置くか貼って置くのである。

石雕龍門躍鯉

石雕龍門躍鯉

チンゲン菜入れた石雕龍門躍鯉

石雕龍門躍鯉の口にチンゲン菜を入れたところ

チンゲン菜

チンゲン菜

龍門躍鯉符

龍門躍鯉符

3.石雕瑞獅法
 石製の瑞獅一対を用いる。これは大小は関係なく、そして獅子の体には赤い布を巻き付ける。これも祭法は全て「1.寿山石寿仙法」と同じである。

〔補足〕供物について

 接財神の祭儀を行なう際に供える供物は、酒、お茶、果物、餅、菓子に加え、金針菜、木耳(キクラゲ)、髪菜(ハッサイ)、紅棗(ナツメ)、腐竹(ユバ)といった特殊な食材が必要となる。これらは横浜等の中華料理の食材店で売っている。
 また、餅は正式には中国の年糕(ネンコウ)と申す物がよく、これも上記の食材店で売っている。尚、これが入手できなければ日本の丸い餅で代用してもよい。

金針菜

金針菜

木耳

木耳(キクラゲ)

髪菜

髪菜(ハッサイ)

紅棗

紅棗(ナツメ)

腐竹

腐竹(ユバ)