桃花女演数隔夜神算数
これは申せば簡単なるオミクジの法であり、その的中率は高い。
これを出す方法はーに占う陰暦の月と日より出し、もしも陽一ならば春となり、二に占う時間で割り出して陰四ならば夏となり、三に次に占う者の生月生日より割り出して七となり陽となれば冬となり、四に占う者の今年の何歳なるかを出して八が残れば冬となり、合計すれば春夏冬冬となり、これは三十二であり、此の数は大吉であり、他日大富・大貴である。これはA四で、約二百六十ページとなる。
この桃花女は中国では非常に有名なる神仙であり、「桃花女与周公闘法」なる古典小説が伝わっている。
この中身はとても参考になる物があり。私は数十年前に台湾大学の近くのロスフル通りにある本屋にて偶然に発見し購入した。
卜(ぼく)の得意な周公が人々を占い、皆はその的中率は驚嘆するが、桃花女は周公が某人に何日何時に死亡すると断じたのに、桃花女はそれを避ける法を授け、その人は死ななかった。
このようにたびたび周公がダメダ、助けられないと占った人を、桃花女が術を使いそれを解くのであり、最後に周公が桃花女を殺そうとさまざまな法・術をかけるが、桃花女はことごとくそれらを解くのであった。
もともとがこの二人は武当山のご本尊の真武大帝・玄天上帝とも称す(日本では鎮宅霊符神と申す)の刀と鞘であり、刀の戒刀は周公であり、鞘は桃花女であった。
世間には又「千鎭百鎭桃花鎭」の伝と称し、桃花鎭書・絵図陰陽三元備用百鎭秘書・刻陰陽護救三教千鎭壓法経があり、この中に数多くある法では日本では入手不可能なる多くの物が使われている関係上、広まる事がなかったのであろう。又「陰陽護救三教千鎭歴法教」は又別の一冊である。
これ以外にも五雷鎭・混元鎭、金龍十二鎭などの秘伝本が密かに伝わっていた。それは千鎭百鎭桃花鎭の姉妹篇であり、その内容は異曲同工であると称す。これは巧みさが同じで、表現の趣が違うのことである。この鎭法とは符呪の各門派にも秘伝の物として伝わっているのが実情である。
これ以外にも又陣法というのも又伝わっている。
一番簡単なのはレンガに秘字を刻みこみ、これに朱砂・白笈を入れて固まらせ、これを家の玄関の両側におけば、その効果は出て来る物であり、 このような陣法は数多く伝承されている。日本では単に霊符をある箇所に貼るか置くなどが伝わっているだけであろう。
中国の仙道小説「封神演義」でも、各仙人たちがそれぞれの陣をはり、対決している場面が数多くのっている。茅山・神霄派法術の中にも又「単蛇陣」「陽五雷陣」などがある。
この隔夜神算は桃花女の愛徒である秋痕の書いた物であり、実に桃花女が心血をそそいだ結晶であり、此の本はただその名を聞くも、世間には伝わらずして漢の高祖の時に始めて僧の人が皇室に献上したのであり、清の時代になり世宗はいつもこの法で卜算をしていて、その奇験や神の如くもっともこれを愛用したが、いかんせん革命が起こり、宮中は乱れ太監(男の生殖器がない宮中に使える人達の事)の常山なる者がその混乱に乗じて、これを盗み取った。
凡そ十余年知られると困るので全然人には見せなかった。此の書はこれより民間に流伝するようになった次第である。